好きだったから、言えなかった。
彼女を幸せにできるはずがないと思ったから。
だって…
俺には、
…悪性の脳腫瘍があるから。
中学の時に一度、
手術を受けて、
取り除いたけど全てを取り除けたわけではないらしく、
月に1度、必ず病院に検査をしに行く。
だから。
この前、病室で優愛に会った時は正直焦った。
病気のことを優愛に言ってしまったら、
きっと優愛は心配してしまう。
そして、手術の後遺症で、
右耳が完全に聞こえなくなってしまった。
次は今通っている市民病院より大きな病院で
手術をすることになった。
だから、もし、手術が成功して、
腫瘍を完璧に取り除くことができたら、
告白しようと決意してた。
なのに…
こんなことって
ありかよ…。
こんな、結末だと知っていたのなら、
ちゃんと伝えていたのに。
『好きだよ。』
。
きっと、
君よりもずっと。