「…フッ」


"…フッ"



??


今、
すぐ隣からフッって笑いを堪える音が聞こえてきた。


「え、」



「これが演技だって分からないなんて、本当にバカ」



「は、はぁ!?」



さっきとはうってかわってニコニコと満足そうに微笑む中山くんの顔を見て、
鼓動が速くなるのを感じた。



ドクドクドクドク、
といつもより倍以上速く打ち付ける鼓動に苦しくなる。

演技…??

酷い…、



「ひ、人が…」



こんなの、おかしいよ……



「人がこんなに心配してるのにっ!!」



…こんな冗談、絶対ダメだよ。



「私、すっごくもう、わけわからなくなって、
どうしようって、もし、何かあったらって…
心配で心配で、たまらなかったんだよ!?
なのに、中山くんは…
中山くんは私にこんな意地悪して何が楽しいの!?
私のこと苛めるの、そんなに楽しい?」



違う、こんな事が言いたいんじゃない。


違う、、っ



どうして…??


"心配したんだからぁ!"

って冗談めかして言えばいいじゃない。





「中山くんなんて…っ」




違う、お願い、止まって!!!




「だいっきらい!!!!!、」



ぁあ。



どうして私は、
大事な時にこんな言い方しかできないんだろう。

どうしてこんなに、
傷つけるような言い方しかできないんだろう。

どうしてもっと
好かれるような言い方ができないの??


ほんっとに、私は…バカだ。


これ以上、彼に嫌われてどうするの…。