「ふぅん、そうなんだ。
そういうこと言っちゃうんだ。
この私がここまで来てやったって言うのに…」


「いや、来てほしいなんて一言も言ってないし。
てか、勝手にここに来たのは君でしょ」


「そりゃ、まぁ。そうだけどさ…」


だって。心配だったんだもん…
好きな人心配するのは、当たり前でしょ?
こんな私なんかに心配する権利がないとでも言うのか、この畜生!


「…もう帰りな。外、暗いし…」


その言葉に私は眉をひそめた。
中山くんの面倒臭そうな、
そんな顔が目に入るだけで
ズキッって毎回心臓が苦しくなるの。


「中山くん、…どこか悪い所でもあるの?」


「特にないよ」


あ…今、…
中山くんが、目をそらした。
いつもは嫌ってほど見てくるのに。
何でだろう?


「特にないんなら、こんな所いないでしょ(笑)
入院中なの?そんなの聞いてな…」


「あのさ。迷惑なの、分からない?」


私の言葉に被せて聞こえてくる言葉。



「…わかった、帰る」


私は目の前の彼に少し怒りながら言った。


やっぱり、いくら私が何したって、
この人は優しい言葉の1つでさえ、
言ってはくれないんだ。

こんな人のどこがいいの?
こんな人を好きになってどうしたいの?
って、自分に問いただしたいくらい。
それでも、好きなんだ。


いくら冷たくさらようと。

酷い言葉を言われようと。

きっと嫌いになんて、なれないんだ。


やっぱり、恋って難しい…。