「……あの」
さりなに反論しようと口を開きかけたと同時に、背後から聞こえてきた声に口をつぐむ。その声を聞いただけで、様々な感情が私の中をうめつくした。
「あ、立花!なに?」
明らかに私に向けてかけられた言葉だったけど、緊張してまともに話せなさそうな私を見て、代わりにあかりが尋ねてくれた。
「岡さ、今日提出する数学の問題集出した?オレ、教科係だから。」
……あ、忘れてた。
「ごめん、今日忘れて……」
「おっけー、じゃあ先生に伝えとくわ」
声がこわばって、なかなか思うように言えない。素っ気なかったよね、今の。
そんなこと思ってるうちに、彼は私たちに背を向けて、教室から出ようとしている。
「……ありがとうっ!」
この声の大きさじゃ伝わらないかもと思い、最後の方に強く言ってしまったため、聞き取れなかったかもしれない。
そんな不安が頭をよぎったとき、彼が振り向いた。
「おう!次は忘れんなよー!」
顔をクシャっとした彼の笑顔は、私にとっては破壊力抜群で。う、うんと精一杯声を張って返事をした。
