「ちとせちゃんもすっかり慣れたね」



食堂で後片付けをしていると、結城さんがあたしにニッコリと微笑んでくれた。



「はい。みんないい人たちばかりで助かってます」


「タマちゃんが馴染めるようにしてくれたもんね」


「そうですね。タマのおかげです」



シェアハウスに来て、1週間がたった。

本当は仕事にすぐにでも行くつもりだったけど。



『落ち着いてないのに、無理しなくていいよ。僕は君には甘いようだ』



なんて社長が言ってくれてお言葉に甘えてる。

あたしのことを学くんの妻だと思ってるから、優しくしてくれるんだよね。
本当は違うだなんて、口にすることもできない。
口にしたくない。



──ピリリリ



スマホの電源をつけた瞬間に鳴る着信に、スマホを落としそうになる。



「もしもし?」



ディスプレイに表示されていたのが、燿くんだったから安心して電話に出た。

あれから、幾度となくかかってきてた学くんからの電話。