「学くん?」


「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」



そう言い放ったあと、貪るようにキスを落とす。
学くんの唇は、どんどんと下へ下降してく。



「……まな、ぶくん」



学くんの名前を呼んで、覚悟を決めたとき。
ハッとしたように学くんがあたしの体から離れる。



「学くん?」


「悪ぃ、葉菜の様子見てくる」



頭をかきながら、そう告げて寝室のドアを開ける。



「ま、学くん!」



このまま行かせたくなくて、追いかけて学くんの服の裾を引っ張る。



「ん?」



こっちは決して振り向かない。



「一緒に寝ようね?」



なんて言ったらいいかわからなくて、とりあえずそう言う。



「仕事残ってるから、終わったらな」



振り向くことはせず、あたしの手を服から話して部屋を出た。




「……なんだろう」



急に様子が変わった……?

途中で気持ちもないあたしの体を操るのが嫌になった?

あたしの体は、学くんの温もりを残したまま。
熱く火照ったままだったのに。

結局、その日は仕事が終わらないのかあたしの隣で学くんが寝ることはなかった。