「それ以外の面でずっと見てきたじゃん。俺は、それが、嫌で嫌で仕方なかったんだから」


「学くん……」



まだ彼には少なからず恨んでる気持ちがあるのかもしれないと、横目で学くんの顔を見る。



「別にいまは恨んでるとかそういう気持ちはないから」



あたしの考えを察したのか、学くんがあたしの顔をのぞき込む。



「う、うん……。でも、それ以外の部分って?」


「知らないよ。何もちとせは」



お父さんがあたしをニッコリと見据える。



「知らない!?」



学くんが驚きの声をあげる。



「あぁ、全部施設長からと言ってくれとお願いしてある」


「あ……」



〝施設長から〟
その言葉には思い当たる部分があった。



「もしかして……いままでの学費とかぜんぶ……」


「そう。あそこの施設長は旧友でね。あの時、ちとせをあの施設に入れてもらえるように頼んだのも俺だ」



「え……じゃあ……」



「学校からの通報ということになっていたが、全部俺だ」



お父さんの言葉に目頭が熱くなる。