「無理?」


「うん。あの時も今も、1度も嘘でお前に気持ちを言ったことはない」


「……っ」



触れるだけだった手は、ぎゅっと握られて。
真剣な眼差しの学くんに、心臓がうるさくならないはずはなかった。



「ちとせが、好きだ」



ずっと欲しかった言葉。
2度と言ってもらえないと思ってた言葉。

その言葉に胸がぎゅうっと締め付けられる。



「ちゃんと、お前にちとせを幸せにできんの?」



ずっと横で見ていたタマが、学くんの腕を引く。



「するよ。絶対。もう、傷つけない」


「よく言うよ。散々傷つけておいて」


「なんか、タマ……お兄ちゃんみたい」



ついさっきまで、底抜けに明るかったタマ。
いま、こうして学くんに話してるタマはすっごくお兄ちゃんみたいだ。



「いや、俺。兄貴なんで」



自分のことを〝兄貴〟だというタマはどこか恥ずかしそうだった。