「あれ、危篤?」



病院についた俺たちが向かったのは、ICU

親父の話では、即死と聞いていたのに、ICUにいる母さんはベッドに横たわっていろんな器具が繋がれている。



「母さん!」



まだ生きてる。
握った手がまだ暖かいことがそれを証明している。

テンパった親父が即死と言ったと判断した。



「学……」



俺の肩に感じた温もり。



「……んで、母さんなんだよ!こんな目にあうのが!」



その温もりの原因を振り払って、俺は叫ぶ。



「すまない」



俺に対して頭を下げてくる目の前の親父。



「一緒にいたのがあんただったのにとか、そういうことを言ってんじゃねぇよ。俺は」



別に母さんが誰といたって、事故は起こる。

でも、どうしても許さないのが
こいつが1度も母さんのことをちゃんと見てやってないってこと。



「すまない」



俺がこんなふうに言ってる理由を聞こうともせず、母さんから目を背ける。