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「おい、学」


「なんだよ、環」



休日のリビング。
ソファーで雑誌を読んでると、険しい顔をした環が俺の前に立っていた。



「これ、どういうことだよ」



環がバンっと何かをテーブルの上に置く。



「あぁ、ちとせちゃんとのプリクラだけど?」



たまたま昨日の帰り。
プリクラが撮りたいという彼女のお願いを聞いて、一緒に撮った1枚だ。



「お前、まさかちとせに復讐するために!?」



環が拳を握りしめている。



「殴れば?」



その拳を俺の手で握って、自分のほうに向かせる。



「お前を殴ったら、母さん悲しむだろ」



俺の手を振り払う。



「よく、自分の母親でもないのに〝母さん〟とか言えるよな?」



俺には無理だ。
あんな父親は父親じゃない。

父親だと思おうとするたび、あの日のキスシーンが浮かんでくる。