さすがにびっくりした。

でも、こうして泣いてる時点で俺の目的は遂行できてるはずなのになぜだか胸はスッキリしなかった。



「な、泣くなよ」



普段から泣いてる女なんて見慣れてるから、何でもないはずだったのに。

今の俺は完全にあたふたしてしまっている。



「わかってるの……。からかわれてるってことくらい。でも……」


「うん。わかったから」



ポンポンっと頭を撫でて、ちとせちゃんの体を引き寄せる。



「ま、なぶくん?」


「からかったりなんてしてないから」



スムーズにこの言葉が出てた。



「え?」


「ちゃんと好きだから。俺も」



これは、演技だ。
俺に気持ちを向かせる作戦だと自分に言い聞かせる。



「本当?」


「あぁ、でも付き合うとか今は無理。ここの先生なわけだし。教育実習、終わったらさ。放課後にちゃんとさせて」



それから教育実習が終わるまでの一週間。
俺とちとせちゃんは、ほぼ一緒にいたと思う。

俺の復讐のために。