「ドキドキしちゃった?」



そう聞けば、真っ赤な顔になる目の前の女の子。

男慣れしてないのは一目瞭然だった。

霧島は、ちとせちゃんのことが好きそうだけどただのお兄ちゃん的存在にしか思ってなさそうだ。



「ドキドキなんて……」


「してないの?」



恥ずかしそうに俯く彼女の顔を上に向かせる。




「え、えっと……」



たぶん、この子は



「俺のこと、好きでしょ」


「……っ」



俺の言葉にびっくしたように目を見開く。

好きにさせるようにやってきてるんだから、当然だ。



「違った?」


「好きとか、よく、わからなくて……」



ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。



「その人のことを考えたらドキドキしたり、苦しくなったり、会いたくなったり」


「……あ」


「そういうのが恋だよ」



俺の言葉にまっすぐ見つめてくる。

そのまっすぐで純真そうな瞳に自分の瞳が揺れていくのがわかる。