「ちとせちゃんって、目悪いの?」



学くんの向かい側に座って、ホチキスを手に取ると学くんの手があたしのメガネに触れる。



「……はい」



うまくいえない。
そんなふうに触られたこともないし。
どうしたらいいかなんてわからない。



「ちょっと外してみてよ」


「え?」


「ほら」



あたしの意見も聞かずに、学くんはあたしからメガネをはずす。



「あ、かわいい」


「へ!?」



言われ慣れてないその言葉に、変な声が出てしまう。



「メガネしてても可愛いけど、してないとまた1段と可愛くなるね」



こんな言葉を言われて、ドキドキしないわけがない。

あたしは騒ぎ出す心臓に理由をつけて、気持ちは見ないふりした。

だって、相手は教育実習生。
あたしは現時点ではどうあがいたって生徒の1人だから。



「ドキドキしちゃった?」



意地悪そうな笑みであたしを見る。



「あ、いや……」



慣れてないんだから、からかっているのなら本当にやめてほしい。

でも、本気ならあたしはどうするのだろう。