「お前さ……もしかして……」



先生たちが生徒会室をあとにしてすぐ、ためらいがちに燿くんが口を開く。



「え?もしかして……?」


「気づいてないならいい」



少し不機嫌そうにドカッと椅子に坐る。



「なにさー!途中まで言うとか気になるじゃん!」


「ずっと気にしとけ!」



むすーっとしたまま、資料作成に戻る燿くん。



「なんだよー、それ」



燿くんが何を言いたいのか、なんで不機嫌なのか。
その理由がまったくわからなかった。



「俺が教えるとかムカつくから、きづかないなら一生気づくな」



なんだかよくわからないことを、むすっとした顔のまま呟いて、ふわっとあたしの頭に触れる。



「今日の燿くん、なんか男の子みたい」


「は?俺が女だったことあった?」



あたしの頭から手を離して、首を傾げる。



「そういうわけじゃなくて……。なんか男の人みたいだなって」


「あ?襲うぞ?」


「すみません、もう言いません」



怒ったら怖い燿くんのことを怒らせたくなくて、頭を下げる。