沈黙が流れる。

あれ?

間違えたかな?


「あっ、間違え…………。」

「遅い。もう取り消せないよ。」

「えっ?」


岬さんの視線が突き刺さる。


「付き合ってくれるって事でいいよね?」

「あっ、うん。」

「本当?」

「あっ、いや、まあ。」


岬さんに何度も念を押される。

ドンドンと曖昧になってしまうが、やはり岬さんだ。

即行動。


「なら慈英って呼んで。」

「えっ?」

「恋人なら慈英って呼んで。」

「えっ、今?」

「うん。心菜。」

「…………じ……えい。」


めちゃくちゃ照れる。

名前を呼ぶのが…………こんなに照れるとは思いもしなかった。


「…………。」


なぜか沈黙。

岬さんも黙り込んだと思ったら、視線が外されて夜景を見始めた。


「えっと、慈英さんにしときます?やっぱり呼び捨てでは。」

「いや、呼び捨てでいい。」

「でも。」

「心菜って呼ぶから慈英で。」


夜景を見たまま視線が合わない。