隣の慈英は気にする様子もなく話を進めていく。


「岬様、日にちは決められております?」

「一応、6月の土日で空いていれば。」

「ジューンブライドですか。」

「はい。」

「お調べしますね。」


支配人が手元にあるPCを操作する姿を見ていた。

すぐに顔を上げた支配人と目が合う。

ミサキ商事の社長もダンディな方だが、支配人もダンディな方で柔らかな笑顔を向けられる。


「大広間が空いております。チャペルは13時でしたら空いておりますが…………午前希望ですか?」

「それで大丈夫です。宜しくお願いします。」

「はい。この日はお日柄も良く、予約が詰まっておりますが大丈夫ですか?」

「はい、『6月の花嫁は幸せになれる』と言われてますから。」


慈英と支配人を交互に見ながら、二人の話を聞いていた。

ふと支配人の目が向けられる。


「雨宮様、この日で宜しいですか?」

「あっ、はい。」


慌てて頷く。

なんか一人だけテンパってる気がする。