実に簡単な答えだった。




 











バスケを手放せばいい―――――――――――――

















今までバスケを主に生活してきて片時も他のことに目を向けることはなく、たくさんの時間をバスケに費やしてきた。









そんな私にそんなことできるだろうか。














物は試しに春休みの終わりかけにバスケと距離を置いてみた。






それは無駄に終わるかと思っていたのだけれど。





意外にも寂しさや習慣化されてたものへの体の癖は一週間も経てば薄れはじめ、バスケの事を極力考えないように努力してたのもいつの間にか全くではないけれども勝手に考えなくなっていた。












高校の入学式の日、校舎の入り口で部活の勧誘を行うたくさんの先輩たちがいて、この中でも一番目についたのがギター部だった。







数人の先輩が皆ギターを持ち音色を奏でている。






初めての光景だった。










“うそでしょ、これギターなの?”










思わず声に出てしまったと思う。











ギターはジャンジャカ激しく弾くもの。










今までそんな感じに理解していた。








ギターの弦は一本一本指で弾かれるとポンッという音を鳴らして、それを違う高さで順番に並べるとメロディーを奏でる。







聞こえてくるのはクラシックのあの有名な曲だ。 










温かみのある優しい音色だった。














それは















私の心を一瞬にして奪った瞬間だった――――














今まで持っていた常識が一気に覆された。













そして
















私もギターを弾いてみたい。















この気持ちがバスケ人生に終止符を打った。