白馬に乗った上司様!?

「あの、あの‥‥‥私‥‥すいません、分かってもいないのに失礼な事を言ってしまって。今日はこれで失礼しますっ」

勢いのままに言い切ると、私は頭を下げてそのままバッグを引っ掴んで店から逃げ出した。そして、そのまま走り出したけれど、駅に着く前に後ろから強く腕を掴まれた。

「っ西春さん!」

焦った顔と弾んだ息。初めて見る慌てた菊里課長は腕を掴んだ手の力をぐっと強くした。

「待って。話、させて」

焦った顔は困った顔へと変化して、声は少し不安げだ。こんな課長も初めて見る。思わず見つめてしまった私に課長が小さく苦く笑った。

「場所、移動するね」

そのまま腕を引かれて着いたのは小さな公園。滑り台とブランコしかない公園は、子供達がいなくなってしんと静まり返っている。

「あの‥‥」

私の腕から手を離した課長は背を向けて黙ったまま、ゆっくりと話し出した。

「まず、謝らせて。ごめん、不快な会話だったよね」

「いえ、課長個人の気持ちや感想は自由ですから」