白馬に乗った上司様!?

「そう、ですね」

菊里課長に近付くチャンスにもなると暗に教えられた仕事だ。自分でやっておけば、補足説明したいだとか何とか理由を付けて話すきっかけも作れる。

「憧れの菊里課長とお近付きになれるチャンスだと分かっていても、西春さんに丸投げしたんだ。これ、頼んだのが厳しい俺じゃなかったら『出来ませんでしたぁ』って嘘臭い半ベソの顔作って終わりにしてたぞ?」

「俺、憧れられてないぞ?沢山現金を吐き出すATMになりそうだって期待されてるだけだ」

「あとは連れて歩くのに見栄えがするって?お前、女子ウケする外見だからなー」

「で、そういう計算を男は全く知らないって軽く見られてるんだろ?ホント、冗談じゃない」

どうやら、中村さんはお二人にとって女性の悪い部分を集めた存在になってしまったらしい。止まらない否定の言葉の洪水に、流石にちょっと可哀想になる。

「あの、それで、具体的にはどうするおつもりなんですか?」

これ以上聞かなくてすむように口を挟むと、課長が「ごめん」と頭をかいた。