白馬に乗った上司様!?

悶々と考え込む私に、隣から小さく咳払いが聞こえた。

「西春さん、いいかな?面倒な話は先に終わらせてしまいたいんだけど」

「あ、はい。大丈夫です」

そうだった。この飲み会は中村さんの事を話し合う為の会だ。

「昼間の続きだけど。俺と旭野は中村さんにきちんと仕事してもらいたいと思ってるし、それが無理なら移動してもらいたいと考えてるんだ」

「移動、ですか。それは難しいと思います」

営業部は社内でもエリートとされる人が多く在籍している。そこで働くという事は将来有望な男性との出会いが多いという事だし、良い条件の結婚相手を探す事を第一目標としている中村さんには、もってこいの職場なのだ。彼女本人が移動に応じるとは考えられない。

「うーん、でもさ。ぶっちゃけ、中村さんが真面目に働くようになるのも期待薄でしょ」

「あの、今回の事は‥‥」

「うん。中村さんの様子を観察したんだ。俺はさ、自分で言うのも何だけど仕事には厳しいし、昨日の仕事は『菊里課長が使うデータだから』ってお願いしてる。これだけ条件揃えても仕事しないなら、これからもしないでしょ」