舌ったらずな中村さんの口調を真似たセリフを旭野主任の太い声で言われて吹き出してしまいそうになったけれど、課長達の苦い顔を見て堪えた。お二人はちっとも面白くないらしい。

「自分で見もしないで先輩に丸投げしといて『奢って下さい』とか、どんな神経してるんだか。ホント、結婚してなかったら女性不信になるわ」

「俺は彼女を野放しにしてた、今までの管理職に不信感を持つよ。あの程度の嘘も見抜けずに給料泥棒させといた奴らに自分が査定されてるなんて、それこそ会社員の悲劇だ」

「だからさ、菊里がさっさと偉くなって会社を変えてくれたらいいんだよ。俺、それまではじっと辛抱するし」

吐き捨てる主任の言葉に頷く課長の言葉も手厳しいが、少し論点がズレてきているし2人の口調も変わってきている。

「あのー、課長と主任って?」

「あ?ああ、ごめん。西春さんいるのに、こっちの話で盛り上がっちゃったね」

「いえ、それは構わないんですが」

頭を掻きながら謝る課長の肩を小突きながら、主任が教えてくれる。