「違う違う。ごめんね、西春さんを責めてるわけじゃないんだ。ただね、僕たちの計画を西春さんに話さなかった自分の間抜けさを悔いてて」

私の苦い反応に課長がとりなすように笑った。どうやら不機嫌は課長自身に向けてだったらしい。

「計画、ですか?」

「そう」

参った、と苦笑しあう課長と主任を見て昨日から感じていた違和感の正体に気付いた。

「あの、もしかしてアレをデータ整理って中村さんに伝えたのは、」

「うん、ワザと。やっぱり西春さんは理解が早いなぁ」

砕けた口調でおだてる課長は、目配せで私にその先を促してきた。

「きちんと書類を見れば、頼まれた仕事内容がデータ整理じゃなくて資料作成な事は誰でもすぐに気付きます。でも主任に提出する時、中村さんは知らなかった」

望まれるままに自分なりの推理を話していたら、それまで黙っていた旭野主任が、おもむろに口を開いた。

「もぅー、このデータ整理ぃ量が多くて大変でしたぁ。お詫びに今度奢ってくださいよぉ‥‥だったかな」