「違うから!」

食い気味で返した返事に緑ちゃんは不思議そうに小首を傾げた。

「そうです?なんか会話がただのイチャつきに聞こえたのですけど」

「絶対、違います!ね、瀬戸君もちゃんと否定しないと」

「‥‥。そうですね、違いますよ。千草、また連絡するから。失礼します」

焦る私を相変わらずの不機嫌顔で見た後、緑ちゃんに否定の言葉を告げた瀬戸君は、そのまま挨拶をして帰っていった。

「ーーー千草、ねぇ。帰り際の挨拶も彼氏っぽいですね」

「ホントに違うって。ただの同級生だよ。だいたい、イケメン若手弁護士先生は腐れ縁の同級生なんて相手にしないし」

それに私はもう、高校生の時にフラれてるし。

最後の言葉だけは声にせず、笑顔を緑ちゃんに向けると苦笑で返された。

「じゃあ、そういうコトにしといてあげます」

「うん。しといて。で、一緒にサンドイッチ食べよ」