当然と言えば当然だろう。昼休み、人気のないオフィスに従業員じゃない人間が入り込んでいるのだ。
190近い長身とがっちりした身体は紺のスーツをキッチリ着込んでいるし、スッキリと整えた髪もシルバーの眼鏡も隙が無さすぎてかえって怪しく見えるのかもしれない。
緑ちゃんが上から下までじっくり観察したのを確認してから、ゆっくり瀬戸君が口を開いた。
「ご挨拶が遅れました。わたくし、御社と顧問契約を結んでいる一ノ宮法律事務所の瀬戸と申します。千草さんとは中学・高校の同級生で、今でも親交があるんです。今日も食事の約束が出来ないかと思って、打ち合わせの帰りにこちらに寄らせて頂いたんですが‥‥」
「ちょっと、瀬戸君!食事なんてっ」
「うん。忙しそうだから、また今度でいいよ」
「今度って、そうじゃなくて‥‥」
「何?」
「だから!緑ちゃんの前で誘うことじゃないし、だいたい」
緑ちゃんに挨拶してたはずなのに、食事のお誘いになってた事に焦る私に、冷静な声が届いた。
「ーーーあの、千草先輩の彼氏さんですか?」
190近い長身とがっちりした身体は紺のスーツをキッチリ着込んでいるし、スッキリと整えた髪もシルバーの眼鏡も隙が無さすぎてかえって怪しく見えるのかもしれない。
緑ちゃんが上から下までじっくり観察したのを確認してから、ゆっくり瀬戸君が口を開いた。
「ご挨拶が遅れました。わたくし、御社と顧問契約を結んでいる一ノ宮法律事務所の瀬戸と申します。千草さんとは中学・高校の同級生で、今でも親交があるんです。今日も食事の約束が出来ないかと思って、打ち合わせの帰りにこちらに寄らせて頂いたんですが‥‥」
「ちょっと、瀬戸君!食事なんてっ」
「うん。忙しそうだから、また今度でいいよ」
「今度って、そうじゃなくて‥‥」
「何?」
「だから!緑ちゃんの前で誘うことじゃないし、だいたい」
緑ちゃんに挨拶してたはずなのに、食事のお誘いになってた事に焦る私に、冷静な声が届いた。
「ーーーあの、千草先輩の彼氏さんですか?」

