「急ぎの仕事を昼休み返上でやる時だってあるのは俺も理解できるけどさ、お前はお人好しなトコロを利用されがちだから心配してるんだ。分かるよな?」

ズルい、と思う。いつもは俺様なくせにこういう時だけ優しさを出してくるから、上手く対応出来ない。

「だいたい、お前は中学ん時からそうだろ?高校の時だって頼まれたからって文化祭でずっと店番してたし」

「そうだけど‥‥でも、」

「千草先輩っ!」

なんとか反論しようとした時、息を切らせながら緑ちゃんが部屋に入ってきた。

「やっぱり!先輩のことだから、きっとランチに行かないで仕事してると思ったんですよ。美味しいサンドイッチ買ってきたんで一緒に食べませんか?これ、私の最近のお気に入りの店ので‥‥‥あの、どなた様ですか?」

サンドイッチの入った紙袋をガサガサと出しながら歩いてきた緑ちゃんが、瀬戸君の存在に気付いたのはだいぶ近付いてからだった。

「うちの社員じゃないですよね?」

その声に一気に警戒感と不信感が増したのが分かる。