「蒼大くん?」

思わず首を傾げると、蒼大くんは黙って自分のカバンから小さな箱を取り出した。

そして、中身を私の薬指にスッとはめる。

「結衣。俺と結婚してください」

「蒼大くん……」

「今日の両親の話を聞いて、一層思った。俺と結衣は、きっとずっと一緒にいる運命なんだって。これから何があっても、俺が結衣を守る。何も気にすることなんかない。だから、ずっと俺と一緒にいてください」

私は大きくうなずいて、両腕を蒼大くんの首に回して抱きついた。

「蒼大くんは、私でいいの?」

「もちろん。結衣じゃないとダメだ」

「私も、蒼大くんじゃないと嫌だ」

首に回した腕を少し緩めて、蒼大くんと見つめ合うと、惹かれ合うように唇が重なった。

「もう、限界だ……」

小さく呟いた蒼大くんに抱きかかえられて、寝室へと運ばれる。

「結衣、愛してる」

「私も」

自分の気持ちに素直になって彼に抱かれた初めての夜は、私にとって一生忘れられない、甘く優しい夜になった。