三島さんとは部署が全然違って関わりがなかったけれど、会社全体の飲み会で初めてその存在を知った。

優しい接し方といつも安定している情緒に惹かれた。
そして、三島さんが異動になった。

それからはこれまでと同じ流れ。

告白されて付き合ったら、結婚してその奥さんのお腹には子供がいると言われた。

それでも良い、と思ったわけでも、それでも欲しい、と感じたわけでもなかったな。

私がそれを受け入れたのは、いつか決着がつくと感じていたから。

彼か私がそれを決断するときが必ず来ると分かっていたから。

「安藤に悪いことしたな」

ベッドに寝転んで、そんなことを思った。