ほんもの。


矢敷さんは先輩の言葉をスルーする。

「昨今は女が家事するみたいな概念も無くなってきたから、かたく考えなくて良いんじゃない?」

「……ですよね」

「てか、それなら安藤に料理教えてもらえば? それが早いよね?」

「え、それはなんか申し訳ないというか、そこまでお願いできないというか」

先輩は頬杖をついて、ふーん、と答えた。






イタリアンリベンジと称して私は誕生会をした。自分のではなくて、安藤の。

盛大にはしたくなかったので、静かにケーキだけ運んでもらうと、安藤の表情が固まった。それが少し不安になる。