三島さんには奥さんがいる。お腹に子供もいるらしい。
私はそれを知っていて、そして三島さんも私が知っていることを知っていて、この関係は続いている。
間違っているのだ。でも、それが何だって言うのだろう。
名前の付けられないそんな気持ちが、安藤にはなくて私にはあった。
それだけのことじゃない。
本当に?
『じゃあまた、月末に』
「はい、おやすみなさい」
三島さんは奥さんの目を盗んでこの電話をしてきているのだろう。
そして、奥さんの目を盗んで私に会いに来てくれる。
そう、世界の誰がなんて主張をしようとも、私たちは間違った関係を続けている。