見間違いか分からないけれど、一瞬暗い顔をした。
そうだな、と言って缶をゴミ箱に放り、私の横を通り抜けていく。
少しだけ、酷いことを言ったな、という気持ちになった。
あの顔が頭から離れない。
『どうした? 仕事行き詰ってる?』
電話の向こうで心配する声。私は現実に戻って、見えることはないのに首を振った。
「ううん、仕事は順調です」
『さすが』
「うちには鬼がいますから」
確かに、と三島さんが笑う。それを聞いてほっとした。
私たちの関係は間違っている。
それは世間の誰に言われても掌を見せてその通りだと同意できる。