でも、ひとつだけ言っておきたいことがあった。
「お母さん」
「なに?」
「次こういうことしたら、もうここに帰らないから」
重みを含ませて言うと、「ごめんごめん」と母が謝った。
「この前さ、道で定期入れを拾ったのね」
伊勢先輩が思い出したように話す。私はコンビニで買ったサラダを開けながら聞いていた。
「それで交番届けたの。その次の日あたしが定期入れ落としちゃってさ」
「何やってるんですか」
矢敷さんもきちんと聞いていたらしく突っ込む。
灰澤さんと一緒に帰っているのは見かけるけれど、一緒にお昼を取ることはないらしい。



