ほんもの。


乾杯、と言ってその缶にコップを当てる。

「もう今年終わるんだね」

テレビの中では年末番組ばかりやっている。私の好きなドラマはこの前最終回を迎えて終わってしまった。

「悪いな。こんなバタバタした中の挨拶になって」

「いや、仕方ないよ。旅館経営って大変そうだし」

グレープフルーツの味が舌に広がる。
安藤が座椅子の背もたれに寄りかかって、こちらを見た。

「弟と俺、半分だけ血が繋がってる」

その言葉に、かける言葉を私は知らない。

「お父さんが違うの?」

遺伝とは怖いもので、安藤母と安藤には見目で共通するものがいくつか分かる。