ほんもの。


厨房にいるということは、料理人なのか。

「もしかして、お父さんの影響なの? 板前になりたかったのって」

単純に出た質問だった。

何かを躊躇うような顔をする。私は瞬きを二回した。
数えたわけではなくて、そんな気がした。

「風呂行こうぜ」

何も言えなくなる。







お風呂から出て部屋に帰ると、安藤がチューハイを持ってこちらに見せていた。

「飲むか?」

「半分欲しい」

「ん」

私を待っていてくれたらしくて、缶チューハイは空けられていない。

テーブルの角を挟んで座ると、プルタブを開けて注いでくれた。