ほんもの。


からかうように、安藤弟が安藤を盗み見る。

「うっせえ」

「うわ、こんな歳になっても口悪いもんな。十和子さん、ちゃんと注意してあげてくださいね」

「いえ、もう気になってないです」

安藤弟は人に好かれそうな感じだった。安藤や安藤母みたいにうわっとなるような美形じゃないけれど。

私の言葉に安藤弟は朗らかに笑った。

「それなら安心です」

安藤弟は従業員の人に呼ばれて行ってしまった。その後ろ姿を見ている安藤を、見てしまう。

「安藤のお父さんって」

「多分厨房にいる。から、来てもらって悪いけど会えない気がする」