ほんもの。


すべてに理由がないことは私は知っている。もうこの歳になれば分かる。いや、幼い頃の方がもっと分かっていたかも。

尋ねても答えがあるとは限らない。
それでも良いから、訊きたかった。









お風呂へ向かう途中、安藤弟と出会えた。

「弟、次期支配人」

「こんばんは、挨拶が遅くなって申し訳ありません、バタバタしていて。泉の弟です」

安藤母と同じ角度のお辞儀。私もつられてお辞儀をする。

「こんばんは、月白十和子です。い、泉さんにはお世話になっております」

「泉さんだって、兄ちゃんそんな呼ばれ方されてんの?」