ほんもの。


バイキング形式の夕飯だった。厨房の方を見て「安藤もあそこで働きたかったの?」と尋ねる。

「いや、バイキングの他に和食専門のところがあって、そこで」

「家業を継ぎたいときがあったんだね」

「それは弟の方が強かったな。それで叶えてる」

安藤が人のことを褒めている。珍しい。

「安藤も『良い男』になったじゃん。それじゃダメなの?」

「少しも思ってないだろ」

「安藤って、たまに人に言えないくらい自己評価低いときあるよね。びっくりしちゃうよ」

私はポテトのグラタンにフォークを差して口に運ぶ。暖かくて美味しい。