ほんもの。


てか、メッセージでも何でも連絡を入れてくれればどこかで待っていてと言えたのに。

「いつからここにいたの? 寒いのに」

コートに触れると、やはり冷たくなっていた。

「十和子さん、夜何か食べたいものある?」

その手をやんわり退けられ、手首を掴まれたまま駅の方へ向かう道を辿る。少し会社から離れて、安藤は手首を離した。

「え、ごめん、今日は手持ち少ないんだ」

財布に千円札が一枚しか入っていないことを思い出す。家に冷凍ご飯もあるし、夜セールになったお惣菜を買えば間に合うと思ってた。
それに毎週観ているドラマもある。