ほんもの。


「どうなんだろうとか、俺はあんまり思ってなかったけど」

矢敷さんは続ける。

「結構君らお似合いだね」

ぶわっと、目から涙が出るのを抑えた。

「……ありがとうございます」

安藤が丁寧に言葉を紡ぐのが聞こえる。

私も同じように言葉を返した。






良い人に恵まれるというのは運だと思う。

「月白さん」

エントランスから出ると、声をかけられた。聞き慣れた声で、顔を向ける。

「どしたの」

安藤がここでこうして待っているのは初めてだった。
私たちは大体終わる時間が違うので、一緒に帰るとなると駅で待ち合わせる。