ほんもの。


何を今更。私のときは根掘り葉掘り聞いてきたのに。

「人のことは色々聞くのに」

矢敷さんは笑いながら言った。矢敷さんが私の味方についている。心強い。

「え……ほら、前に財布拾った後に、定期入れ落としたって話したでしょう?」

「あれですよね、定期入れ拾ってくれた人も財布落としてたけど、結局先輩が拾った財布じゃなかったっていう」

「もしかしてその人と再会したとか?」

「矢敷さん、それは流石に漫画みたいですよー」

黙る先輩を見て、二人して黙る。

え、と沈黙を破ったのは矢敷さんだった。