ほんもの。


「でも一人で年越すくらいなら、カニくらい食べる」

「カニは年始に食べられるよ」

「じゃあカニ食べる前に逃げる」

子供みたいな言い分だ。安藤はごくりとビールを飲んで、こちらを見る。

「それか、うち来る?」

澄んだ目で聞かれた。
うちって、家? ここではなく、安藤の実家?

「え、えーっと……」

「冗談に決まってんだろ」

腕を引かれた。安藤がビールを口に含んで、キスをしてくる。
こじ開けられた口の中に、苦い液体が流れ込んできた。

飲み込めない分が、太腿に落ちる。
それを擦り込むように、安藤がなぞってきた。