どこが、と聞かれても、どこがとは答えられないけれど。
「安藤は口も悪いし、色々強引だし、格好チンピラみたいだなって思うことたまにあるけど」
「あ?」
「あっ、そういう所も好きだってことだよ」
言葉にしなくても伝わることなんて、ないのかもしれない。
安藤の腕の力が強くなって結構真面目に苦しい。ふ、と安藤が笑う気配がしたので、まあ良いかと思うことにした。
それにしても、安藤が泣くとは。
「あ! おじやが冷めてる!」
「明日の朝食べる」
「今食べなきゃダメ。美味しく出来たんだから食べて」
愛情の押し売り。量り売りじゃないだけマシだと思ってほしい。



