「え、どうしたの?」

「誕生日プレゼントよ。早く来て、早く行くよ」

「あ、はーい」

まあ高いところに食べに連れて行ってくれるなら、それなりの服を着て行かないといけないよね。
そうして自分を納得させて着替える。

母の運転する車に乗り、その場所へ向かった。

着いたのは料亭。こんな場所でお昼を食べるなんて、私はどこかに売り飛ばされてしまうのか。
冗談混じりにそんなことを考えていたけれど、現実かもしれない。

「月白さん、こっちこっち」

ひらひらと手を振るおばさんが、うちの苗字を呼んだから。