横からにゅっと腕が伸びてきて、後ろから囲われた。

びっくりして肩越しにそちらを見ると、安藤が携帯を覗き込んでくる。

「水に顆粒出汁溶かして、沸いたら炊飯器に残ってるご飯突っ込め」

「え、な……何料理?」

「おじやってやつです、十和子さん」

おじや。噂には聞いたことがある。

私はお鍋を出してから、親指を立てた。

「任せて、お湯を沸かすのは得意。だから安藤は寝てて」

「ああ、後は任せる」

何か言いたげな顔をしながらも、安藤は寝室へ戻った。

私は料理を始めた。