「 唯ちゃん、私の友達がね、練習台になってもいいって言うんだけど どう?勉強も教えてくれるわよ 」

「 ほんとですか! ありがとうございます 」

「 もうすぐ来るから、遠慮せずに練習してね。相手も美容師だから教えてもらえるしね 」



感謝の一言しかなかった。

そんな私の前に現れたのは、力丸でした。



「 なんで…… 」

「 唯、久しぶり 」



痩せた? 髪型も変えた?



「 国家試験か、懐かしいな… 」



いつの間にかオーナーはいなくて、力丸と二人きり。



「 元気だった? 」

「 はい… 」

「 頑張ってたのはずっと知ってたよ、会わずにずっと見てた 」



ずっと?

あれからずっと?



そう、私が知らないだけで力丸は私が高校を卒業し、美容学校に入学し卒業まで知っていた。

さらには友人の店に偶然入った私の事も知り、オーナーから話を聞いていたと。



「 あれからずっと片思いしてたよ、ただ思って、唯がここにいるんだって見てるだけで安心した 」



力丸……



「 俺も店を出してやってる、早く独立して一人前になれるよう努力してる 」



店を……



「 唯だけが俺の未来にある大切な女 」



力丸……



「 やり直したい、唯じゃないと俺に未来がないから 」



私と別れて何かが欠けてしまったように見えた力丸。

私はただ、がむしゃらに今日まできた。

忘れようとしていた力丸への思いが、涙になって溢れてきた。