その時から私の男性の好みは「強い男」
柔道をやっていたから周りは「麗より強い男」なんて思っていたみたいだけど
あの時のあの人の一本背負い
「強さ」の意味を初めて理解した

周りは勘違いしてたけど訂正しなかった
どう説明すれば良いかわからなかったから



私はあの人に恋をしたのかと言われればそれは違う


憧れ



そのあと、大人になるにつれて私にもお付き合いしたひとがいた
恋をして、出会いと別れを繰り返した
それでも、あの時ほどの衝撃的な出会いはない


そして、私は大人になるに連れて確信した



あの人が誰だったのかを知っていく



正木組と言う名前は大人になるにつれて聞くことになった

そして、正木コーポレーションと言う会社を知るのは同時で
インテリアコーディネーターに憧れていた私は運命だと思った

また、あの人に会えると思った




「あいつとは知り合いか?」

「あ……」



社長の言う、「あいつ」それは会長ではない



会長が現れた時に秘書のように付き添っていた彼
それは………あの時の先輩だった
会長が「りゅう」と呼ぶその人は私を見て目を開いた



そして、私の前で正座をし頭を下げた
私が会長に対して感謝の意味を込めたものと違い明らかな謝罪
土下座だった


周りの人達から彼を呼ぶ声があがって、慕われてる彼の今を知って嬉しくなった
そのあと、二人で笑いあって
「今度、ちゃんと話をしたい」と言われたので「はい」と答えたのだ



「中学の先輩です」



嘘ではない
社長は一瞬顔をしかめてそっと私の手を取った