佐お兄ちゃんが…いる。 本当なんだ。 思わず立ち止まり、スマホをぎゅっと持ち直す。 周くんになるべく動揺してるの見せないようにしなきゃ、絶対からかわれる! 「それじゃあもう着くから、また後でね」 『はいはい』 周くんの適当な返事で電話は終わった。 さっきまで夕日でオレンジ色に染まっていた空は、もうすでに薄暗くなっていた。 ちゃんと周くんの番号を登録して、私はまた歩き出した。