「和泉くんって、イジメっ子なのかな?」
「…ごめん栞里、何言ってんの?」
席に腰を下ろして話を切り出せば、後ろの席に座る早苗は怪訝な顔を浮かべる。
だって、それしか思いつかないんだもん。仕方ないじゃないか。
「え、何。和泉にイジメられたの?栞里」
「いや、そういうわけじゃないんだけど…」
イジメというよりは、あれは意地悪と言うべきものだったような。
あんなにドキドキさせる意地悪をするなんて、和泉くんはどういうつもりだったんだろう。
『栞里』
私の名前を呼ぶのは、ただの気まぐれなんだろうか。
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