でも。 「うん。和泉くんがいいの」 私は、何よりも誰よりも、和泉くんが好きだから。 「ありがとう、慎くん」 「……後悔しても遅いんだからね。僕、もう栞里ちゃん離れしちゃうからね」 プイッとそっぽを向く慎くんの声は、少し震えていて。 私は背伸びをして、そっとその頭を撫でた。 「〜〜、あーもう!無理!やっぱ僕栞里ちゃん離れできない!」 けれどすぐに、その体は私をガバッと包み込む。 ぎゅーっと抱きしめてくるその姿は完全にいつもの慎くんで、私はおもわず笑ってしまった。