私の、背後から声がする。



「それで、新太。 もとい金づる。 用件は何かな?」

「うわ、斗春さん、そりゃねーよ」


斗春は『ART』関連の事件は嫌いじゃない。
今回もノリ気のようで、イスに寝そべったまま声をあげた。


「でも、払ってくれるんだろ?」

「そりゃ、俺はそういう役目だから、そーだけどさ」





探偵事務所と犯罪隠蔽集団『ART』は癒着している。





というのは冗談だが、
事実として事件の斡旋をしてくれているのは確かだ。


そして、彼らの作ったトリックや偽装を看破することで褒賞金も払われており、それで生活しているのも確かであるが、なんだかなーって感じである。



まぁ、放っておくと冤罪者や迷宮入りの事件を無尽蔵に増やされてしまうので、ある意味言ってくれるだけマシかも知れない。


我らが探偵事務所は、極小事務所ながら、私の圧倒的スペクタクル助手能力により、それなりの隠蔽看破率を誇る。



だから、犯罪集団との連絡役が、結構な頻度で現れる。


いや、もう通報しろよと思うかも知れない。しかし、彼らのうまいというか、ずるいところは犯罪に関与しないことだ。