「一昨日までの女性とは別れたよ。そのあと、彼女に一目惚れしたんだ」
「せめて身辺調査をさせてください」
身辺調査。こんな王子様と結婚するとなれば、その身内は当然、私の身辺調査をするだろう。そうは思っていたけど、まさか自分がいるところで口に出されるとは思わなかった。
「その必要はない」
「私はかまわないけど」
身内に犯罪者がいるわけでもない。なんてことない一般人ばかりの実家だけど、やましいことはない。私だって、これまで真面目に生きてきた。男性関係も派手だったことはない。
「いいんだ、莉子。僕はきみと結婚すると決めた。父も、僕が選んだ人なら良いと言っていた。そうだよな、神藤」
「おっしゃる通り、ですが……」
神藤さんは秘書と言うより、お世話係りみたい。執事と言った方がしっくりきそう。
もしかしてレヴィ、自分で結婚相手も見つけられないと言われて、お見合いもできなくなってしまったのかな。
御曹司でなくても愛してくれる人と出会いたかったというのも、嘘ではないと思うけど……。
レヴィの王子様フェイスの裏に、見栄とか葛藤とか、色々なものが見え隠れしてした。
ま、打算はお互い様だからそれについては目を瞑るか。



